哂う豚

あえて火中の栗を拾う

美容院でキートン先生に感銘を受けまくる。それも何度も

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MASTERキートン3巻の巻頭ばかりを、くり返し読んでいる。

美容師さんが用意してくれるファッション雑誌に目もくれず、待合ソファ脇の本棚にひっそりとしまわれているMASTERキートン浦沢直樹氏の傑作マンガ)を掘り出しては読む、という行為を繰り返していたら、担当美容師さんがMASTERキートンを席まで運んでくれるようになりました。

 

「何巻からでしたっけ?」と問われるたびに、
「3巻からお願いします」と応えてしまう。毎回、毎回。
別に、3巻が大のお気に入りというわけじゃないんだよ。
てゆうか、心の底から続きが読みたい。
ところが、どこまで読んだか忘れてしまって、「たぶん3巻だったろう」ということを、半年くらいくり返しちゃってる。
猿だ。いや、鳥頭だ。

 

だけどねえ。ちっとも飽きないんだよ。毎回同じ場所でグッとくる。
特に1話の終盤あたりの4コマが、最大に胸が熱い。

 

ストーリーを説明すると長くなるので省くけど。キートンと、老人と、小学生くらいの家出少年が、ある夜、小高い丘の上で薪で暖を取っているシーンだと思ってください。
家出少年は、人生を憂いて家出した理由を、「親友に理不尽な仕打ちを受けたから」だと打ち明けます。

 

「友達だと信じていたのに。あんな理不尽なことをするなんて。結局、友達だと思っていたのは僕だけだったんだ」みたいなことを少年が言った後。
いいですか? たった4コマです。

 

1コマ目キートン
「友達なら、一度の理不尽くらい許しな」

2コマ目キートン
「でないと、君はこの先、一生、誰も許せなくなる」

3コマ目少年
「ぼくは孤独だ!」

4コマ目老人
「いい悟りだ。それを知っていれば、人に優しくなれる」

 

もしかしたら、わたしはこの真理を何度でも発見し直す必要があって、美容院に通っているのかもしれない。
さっぱりした髪を風になびかせて歩きながら、そんなことを思う帰り道なのでした。
(キャラクターのセリフは、鳥頭が記憶を辿って書いているので正確じゃないかもです)