哂う豚

あえて火中の栗を拾う

わたしがこどもだった頃

遺族の悲しみが死者を辱めるとき、死者は何を思うこともできない。だって死んでるから。

死んだ子供の日記を世界に晒しちゃ嫌だよお父さん 「なんて気の毒な少女なんだ! こんな辱めを受けて!」『アンネの日記』を読んだ時、アンネと同じ年頃の少女だったわたしは、恥かしさに身をよじった。 もしも、わたしがアンネと同じ仕打ちをうけたら。つま…

ブランコは血の匂い

雨上がりの公園で、ブランコに走り寄る。 服が濡れるのは嫌だから、立ち漕ぎで。 キュルーコ、キュルーコと鉄の軋む音をたて、雨水を飛ばしながら世界を揺らす。 思えば、人生で始めての乗り物操縦はブランコだった気がする。記憶にないけど。 ブランコをつ…

私が社長ならこの子を雇いませんと母に言った担任

「私が社長ならこの子を雇いません」 中学一年生の時の家庭訪問で、植野先生(仮名 男性 40代)は母に言った。 話の前後はよく覚えていないけど、「落ち着きがない」「授業をろくに聴いてない」「やればできるのにやらない」「そのくせテストの点は高いか…